何事にも不器用なオヤジなのでうまくできないことが多いのですが、育苗期間の悩みは、キュウリの接ぎ木がうまくできないことです。
キュウリは味の良い「黒サンゴ」という品種を毎年栽培していますが、連作障害なのか、ここ数年ツル割れ病などで収量の激減と収穫期間が短くなったりということもあり、打開策として苦手な接ぎ木を再開したのですが、どうもうまくできず、大半の苗をだめにしてしまいます。
(オヤジの接ぎ木について詳しく書いた記事は、こちらです。)
なぜ成功率が低いだろうのか?
4月初めに、ハウス用の苗の接ぎ木に取り組みます。
ハウスには6株しか植えないのですが、いつも半分以上失敗するので、多めに種を植えました。
あまりスマートにはいかないのですが、手順には慣れてきたので、
このように仕上げます。
活着まで数日遮光密閉し、徐々に光を入れ、換気していきます。
ここまではトラブルなしに運ぶのですが・・・
接ぎ木から10日後、穂木を切断した後が問題なのです。
切断から1~2日経つと、
こんなふうに枯れてしまいます。
台木としっかり活着していないのでしょう。
ほとんどダメにしてしまいました。
接ぎ木用のクリップを外してみると、ちゃんと嚙み合っているように見えるのですが・・・
結局、生き残ったのは16株中、この3株だけでした。
成功率はたったの16%です(泣)。
成功率を上げるには・・・
これでは種と労力の無駄遣いです。
何とか成功率を上げなければなりません。
そこで、5月に行う露地用苗の接ぎ木をするにあたり、以下の対策を考えました。
① 切れ目を入れるカミソリを新品のものに買い換える(今まで使いまわしていたため)
② 明るい昼間に行う(視界を良くするため)
③ 素面の状態で行う(酒が入ると手元が狂う?から)
④ サンプルを増やす(エビデンスを増やす、また練習回数を増やす)
⑤ 違う種類の接ぎ木用クリップを試してみる(グリップ度が弱いかもしれないから)
露地用の接ぎ木に、挑みます!
種をたくさん植えようと思いました。
もし成功率が変わらなかったとしても、たくさん植えれば成功株は増えるので、露地に植える分は確保できるでしょう。
ただ気がかりだったのは、キュウリの種はともかく、台木となるカボチャの種が高価だったことです。
台木専用の品種の種も市販されていますが、効果です。
また、台木専用でなくてもカボチャの種は高価です。
7~8粒しか入っていなくて、400円以上します。
露地用はいままでの倍くらいの数を植えたかったので、カボチャの種だけで2,000円ほどかけてしまうことになります。
しかも成功率が上がらなければほとんど無駄になります。
そこで、スーパーのカボチャの中身の種を利用することを思いつきました。
4分の1のカットサイズのカボチャで種付きのものを買い、実の部分は茹でておいしく頂き、種は台木用にセルトレイに植えることにしました。
250円のカボチャで、これだけ種が入っていました。
きれいに洗ってべたべた成分をふき取ります。
種の皮に発芽抑制物質が含まれていて、発芽率が良くない、または発芽が遅い、とネットの情報で知りました。
皮を剥いて胚乳の部分だけ植えれば容易に発芽するというのです!
これはさっそく試してみよう!
右が皮つきの状態、左が皮を剥いた状態です。
慎重に剥けばこのようにつぶさずに中の胚乳部分が得られます。
4月29日に種蒔きしました。
柔らかいのでそっと土をかぶせます。
さてどうなるか・・・。
5月8日の写真です。
ほぼ100パーセントの発芽率で、早く発芽がそろいました。
やはり発芽抑制物質がないと速いです!
5月12日です。
双葉が開いたので、接ぎ木適期です。
穂木のキュウリも本葉が育っています、さあ、トライしましょう!
右側がいままで使用していた接ぎ木クリップ、左が今回購入した「接ぎ木フレンド」です。
比較のため、両方を試します。
今回はハウス用の倍の数(32株)にしました。
数が多いので2日に分けて実施しました。
穂木と台木が噛み合うように切れ目をカミソリで入れ、このように組み合わせます。
分かりにくいので、補足で線を入れてみました。
赤い線のように噛み合っています。
この接ぎ方を「呼び接ぎ(よびつぎ)」といいます。
組んだらクリップで固定します。
いつも使用しているクリップに比べて、この「接ぎ木フレンド」はグリップが強いです。
形状が茎の丸い断面に似ているのでしっかり固定してくれそうです。
ただ、バネが強い感触なので食い込みすぎないかちょっと不安でした。
いつものクリップと両方、同じやり方で試しました。
さて、どうなったでしょうか?
少し改善はしましたが・・・
5月29日の写真です。
結果を3段に分けました。
いちばん上が活着に成功した苗・・・9株
しおれているので蓋をかぶせて復活を期待している苗(ほとんどいつもダメになる)・・・10株
完全に枯れてしまった苗・・・14株
しおれている苗が全く復活しないとしたら、成功率は28%‼
改善したとはいえ、劇的な改善とは言い難いです。
成功苗は、「接ぎ木フレンド」を使用したものの方が多かったです。
「~フレンド」が勝因とは断定できませんが、9株中7株でした。
今回試した結果を踏まえて、あと考えられる失敗の原因としては、
① 密閉している時間が短いので活着しない
② カミソリの切れ目の角度が穂木と台木で一致しない
③ 雑菌が入って活着を邪魔する?
④ 温度管理が不徹底?(いちばんずさんな所だ・・・)
こういったところでしょうか?
エビデンスの積み重ねは今後も続きます(泣)。
ハウスのキュウリはもうすぐ初収穫をむかえます!
現在のハウスのキュウリです。
自根の1株も含め、まだ4株しか植えていません。
露地用の余った接ぎ木苗をあと2株、後日植えようと思います。
ロープを張るのが遅れて誘引できなかったため、地這いキュウリとなっています(笑)。
長さ15cmほどになった、今年初収穫予定の黒サンゴです。
尻が少し細いです。
折を見て追肥などして、病気を防いで長く収穫したいです。